2009/08/27

国勢調査

先日、我が家にも国勢調査の調査員が来ました。新聞その他で告知されていた通り赤いシャツを来た調査員(女性が二人)がやって来て、家族構成にかんする質問など聞かれました。質問表はA3の大きさで2ページだけでした。所要時間は約10分で予想していたものよりずっと簡単なものでした。我々の調査ときたら、人の家にお邪魔して時に数時間も家計のことを根掘り葉掘り聞いているので、余計に簡単に感じました。我々の調査に協力して質問に答えて下さる方々の精神的・時間的な負担は相当なものでしょう。感謝を忘れず、成果を何とか世のため人のために役立てねば、とあらためて思いました。

2009/08/20

Field Experiment in Uganda

先週またまたウガンダに行ってきました。今回の目的は、調査対象農家に対するフィールド実験第二弾を実施するための準備および事前テストを行うことでした。ちなみに、第一弾は今年の2、3月に行ったハイブリッドメイズの種と肥料の無料配布実験です。(詳しくはこちら。)今回の実験は、前回無料配布した種と肥料を対象農家とその隣人に対し市場価格で販売するというものです。次の作付けシーズンが始まる前に対象の69村で実施します。予定では8月の最終週から始めるはずだったのですが、幾つかの地域で作付けの準備が始まりそうという情報が入り、計画を前倒しし急遽行ってきました。

第1弾の実験で配った種と肥料の評判はすこぶる良く、中には800キロもメイズがとれたという農家もいました。彼はそれを売ったお金でメスの子牛を買ったそうです。私の知る限り実験参加農家の中でこの農家がこれまでの最高の収穫量を記録しています。ちなみに、今年は特に天候が悪く、在来種だと1エーカーあたりだいたい500キロくらいの収穫量だそうです。配った種と肥料は、4分の1エーカー分のものでした。ただし、農家は肥料を使った集約的な農法に慣れていないので、実際にはもっと大きな畑に畝の間隔を広めにとって作付けしていました。それでも、ハイブリッドと在来種との収量の差は歴然でした。

今回の実験では、(1)一度ハイブリッド種や化学肥料を使ったあと、それら農業インプットに対する需要がその前と後でどのくらい変化するか、(2)直接使ってはいないが、対象農家の経験を見聞きした近隣農家の需要はどのくらい増えるか、(3)その需要は価格の変化に対しどのくらい反応するか、(4)後払いが可能なとき、現金前払いの時とくらべてどのくらい需要が増えるか、等々を明らかにすることを狙っています。種屋が率先してやってくれても良いようなことを実施する予定です。

今回は、プロジェクトが計画通りうまく運ぶかどうかテストするために、調査地を3カ所訪れて、その内2カ所で種と肥料を売ってきました。結局、2カ所で合計25人の実験参加者に対し約100キロ強のハイブリッド種を売りました。結果はまずまず?かな。対象村のまとめ役に事前に電話連絡をして、何時何時に種と肥料を売りに行くから参加者にその旨伝えてくれとお願いしているのですが、全ての参加者にはプロジェクトの主旨が伝わっておらず、買いたいけど現金の持ち合わせがないから買えないという参加者も多かったです。連絡が徹底していたらもっと売れていたでしょう。今後は同じ村に、プロジェクトの説明と販売のため二度訪れることでこの点は解決しました。ただ、農民がハイブリッド種に興味津々なのは確かです。今回も話を聞きつけたプロジェクト対象外の農家も覗きに来て、売って欲しいと頼まれました。残念ながら、4輪駆動車の荷台に種と肥料を積んで対象村に出向いているのですが、輸送のキャパがないので断りました。

売り方は工夫の余地が沢山あるだろうし、工夫すればもっと売れるだろうから、ハイブリッド種の販売ビジネスは美味しいと思うんですけどね。何で民間のサプライヤー達がもっと活発に参入してこないのでしょう。今まさに、これからって時なのでしょうか。民間セクターはアニマルスピリットで利益の上がるビジネスの臭いを嗅ぎ付け次々参入が起こるから、そうそう美味しいビジネスなんて残っていない、というのが一般の認識だと思いますが、現実はそうでもないって事かな。

2009/08/07

iPhone Application to Learn Swahili

スワヒリ語の個人レッスンを2ヶ月ほど前から受けているのですが、あまりにも記憶力が悪くて単語が覚えられない。そこでiPhoneで使える単語帳のようなアプリを探していました(昨日から)。良いヤツを発見しました。誰かが作った単語帳もダウンロードできるし、自分で編集するのも簡単だし、今のところ言う事無しです。iFliprというアプリです。専用のWebサイト、サーバーがあり、そこから既存の単語帳をダウンロードしたり、自分の単語帳をアップロードしたり出来るようになっています。私も単語帳を早速作って見ました。スワヒリ語に興味のある方かつiPhoneを使っている方は是非ダウンロードしてみて下さい。因に出てくる単語と例文は私が授業で習ったものです。授業は教科書を使わずに、思いついた文章に対応するスワヒリ語の表現を教わり、文法はその思いつきの文章の中に何か新しい語法が出て来たら教わるという、場当たり的な学習ですが、結構楽しいです。

Mukulu Slum

先週(7/30)の事なんですが、ナイロビにあるスラムの一つムクル地区(Mukulu slum)へ行ってきました。ケニアで活動するNGO関係者のグループが企画したツアーに参加させて頂きました。普段は農村家計の調査をしているので、都市の貧困層の居住区へは行った事がなかったんです。ナイロビは近年治安がどんどん悪化しているし、特にスラム周辺はケニア人ですら危ないですから、スワヒリ語もしゃべれない日本人の私にはスラムに一人で乗り込む度胸は到底ありません。その点、農村は良いですよ。のんびりしてて平和で。今回、こうしたツアーを企画される方々がいらっしゃって貴重な体験ができました。大変有り難かったです。

ナイロビ中心地からモンバサロードをジョモケニヤッタ国際空港へ向かい車で15分くらい走り、途中で左手に折れるとちょっとした街があります。更に左手に折れると、車がやっと一台通れるくらいの凸凹道になり、道路沿いの小さな商店、路上の物売り、その裏に密集するトタン屋根の住居でごちゃごちゃしてたところへやってきます。その周辺がMukulu地区です。

ツアーの目的は、シスター・ベロニカ(Veronica?)という女性が支援するワーキング・グループを見学し、彼女やグループのメンバーから話を聞くことでした。

彼女は元々農業普及員(現在も農業省に所属しています)で、農村を周り農民に農業技術などを教えていたそうです。(私の知る限り)アフリカの多くの国で農業普及員のサボタージュが問題になっているケースが多い中、彼女は例外的な情熱で仕事に取り組み、その活動が認められ、現在は農業省から特別に車とドライバーを与えられ、毎日違う地域に出かけては、ワーキング・グループに新しい技術・ビジネスを指南し貧困層を支援しているそうです。

このムクルスラムでは、教会を拠点に幾つかのワーキング・グループが活動していて、それぞれのグループが洗濯洗剤、ポテトチップス、絞り染めの衣服、アクセサリーの生産してました。製品は各メンバーが近所の住民に売っているそうです。これらのビジネスは全てシスター・ベロニカが教えたものです。初期投資もわずかで技術的にも簡単なビジネスですが、しっかり収益があがっているそうです。今後はこれらの商品を売る直売店を開いて事業規模を拡大するのが、メンバーの夢だそうです。

スラムの住民は農村出身で田舎で生活が困窮したため、仕方なく街に出てくる人が多いのですが、彼ら彼女らは教育もあまり受けておらず、都市部でもなかなか仕事を見つけられない。ビジネスを始めるにも資金はないし、知恵も無い。
更に、出身地もバラバラでお互い関係が希薄だから、中々共同で事業を始めるなんてことも難しいようです。でも、シスター・ベロニカの様なリーダーがいるとグループも纏まるし、事業も軌道に乗る。彼女も強調してましたが、貧困解消には付加価値を生み出す工夫、ビジネス・マインドが重要です。

このスラムでもあんな簡単そうで誰でも前からやってそうなビジネスが収益を生んでいるようですから、ビジネスをスラムで紹介するような支援活動なんか貧困対策に有効そうですよね。経済学でいう完全競争に近い状況では、利益の機会があると沢山の参入が起こり、そのせいで終いには利益の機会がなくなってしまいます。技術が容易で初期投資も少ないような産業の場合は、市場は競争的なはずなんです。だからそんな収益のしっかり出るしかも簡単なビジネスが、残されているとは考えないものなんですよね。現実はそんな状況とはほど遠いようです。今度、研究費が穫れたらフィールド実験してみようかな。