先週またまたウガンダに行ってきました。今回の目的は、調査対象農家に対するフィールド実験第二弾を実施するための準備および事前テストを行うことでした。ちなみに、第一弾は今年の2、3月に行ったハイブリッドメイズの種と肥料の無料配布実験です。(詳しくはこちら。)今回の実験は、前回無料配布した種と肥料を対象農家とその隣人に対し市場価格で販売するというものです。次の作付けシーズンが始まる前に対象の69村で実施します。予定では8月の最終週から始めるはずだったのですが、幾つかの地域で作付けの準備が始まりそうという情報が入り、計画を前倒しし急遽行ってきました。
第1弾の実験で配った種と肥料の評判はすこぶる良く、中には800キロもメイズがとれたという農家もいました。彼はそれを売ったお金でメスの子牛を買ったそうです。私の知る限り実験参加農家の中でこの農家がこれまでの最高の収穫量を記録しています。ちなみに、今年は特に天候が悪く、在来種だと1エーカーあたりだいたい500キロくらいの収穫量だそうです。配った種と肥料は、4分の1エーカー分のものでした。ただし、農家は肥料を使った集約的な農法に慣れていないので、実際にはもっと大きな畑に畝の間隔を広めにとって作付けしていました。それでも、ハイブリッドと在来種との収量の差は歴然でした。
今回の実験では、(1)一度ハイブリッド種や化学肥料を使ったあと、それら農業インプットに対する需要がその前と後でどのくらい変化するか、(2)直接使ってはいないが、対象農家の経験を見聞きした近隣農家の需要はどのくらい増えるか、(3)その需要は価格の変化に対しどのくらい反応するか、(4)後払いが可能なとき、現金前払いの時とくらべてどのくらい需要が増えるか、等々を明らかにすることを狙っています。種屋が率先してやってくれても良いようなことを実施する予定です。
今回は、プロジェクトが計画通りうまく運ぶかどうかテストするために、調査地を3カ所訪れて、その内2カ所で種と肥料を売ってきました。結局、2カ所で合計25人の実験参加者に対し約100キロ強のハイブリッド種を売りました。結果はまずまず?かな。対象村のまとめ役に事前に電話連絡をして、何時何時に種と肥料を売りに行くから参加者にその旨伝えてくれとお願いしているのですが、全ての参加者にはプロジェクトの主旨が伝わっておらず、買いたいけど現金の持ち合わせがないから買えないという参加者も多かったです。連絡が徹底していたらもっと売れていたでしょう。今後は同じ村に、プロジェクトの説明と販売のため二度訪れることでこの点は解決しました。ただ、農民がハイブリッド種に興味津々なのは確かです。今回も話を聞きつけたプロジェクト対象外の農家も覗きに来て、売って欲しいと頼まれました。残念ながら、4輪駆動車の荷台に種と肥料を積んで対象村に出向いているのですが、輸送のキャパがないので断りました。
売り方は工夫の余地が沢山あるだろうし、工夫すればもっと売れるだろうから、ハイブリッド種の販売ビジネスは美味しいと思うんですけどね。何で民間のサプライヤー達がもっと活発に参入してこないのでしょう。今まさに、これからって時なのでしょうか。民間セクターはアニマルスピリットで利益の上がるビジネスの臭いを嗅ぎ付け次々参入が起こるから、そうそう美味しいビジネスなんて残っていない、というのが一般の認識だと思いますが、現実はそうでもないって事かな。
2009/08/20
2009/08/07
iPhone Application to Learn Swahili
スワヒリ語の個人レッスンを2ヶ月ほど前から受けているのですが、あまりにも記憶力が悪くて単語が覚えられない。そこでiPhoneで使える単語帳のようなアプリを探していました(昨日から)。良いヤツを発見しました。誰かが作った単語帳もダウンロードできるし、自分で編集するのも簡単だし、今のところ言う事無しです。iFliprというアプリです。専用のWebサイト、サーバーがあり、そこから既存の単語帳をダウンロードしたり、自分の単語帳をアップロードしたり出来るようになっています。私も単語帳を早速作って見ました。スワヒリ語に興味のある方かつiPhoneを使っている方は是非ダウンロードしてみて下さい。因に出てくる単語と例文は私が授業で習ったものです。授業は教科書を使わずに、思いついた文章に対応するスワヒリ語の表現を教わり、文法はその思いつきの文章の中に何か新しい語法が出て来たら教わるという、場当たり的な学習ですが、結構楽しいです。
Mukulu Slum
先週(7/30)の事なんですが、ナイロビにあるスラムの一つムクル地区(Mukulu slum)へ行ってきました。ケニアで活動するNGO関係者のグループが企画したツアーに参加させて頂きました。普段は農村家計の調査をしているので、都市の貧困層の居住区へは行った事がなかったんです。ナイロビは近年治安がどんどん悪化しているし、特にスラム周辺はケニア人ですら危ないですから、スワヒリ語もしゃべれない日本人の私にはスラムに一人で乗り込む度胸は到底ありません。その点、農村は良いですよ。のんびりしてて平和で。今回、こうしたツアーを企画される方々がいらっしゃって貴重な体験ができました。大変有り難かったです。
ナイロビ中心地からモンバサロードをジョモケニヤッタ国際空港へ向かい車で15分くらい走り、途中で左手に折れるとちょっとした街があります。更に左手に折れると、車がやっと一台通れるくらいの凸凹道になり、道路沿いの小さな商店、路上の物売り、その裏に密集するトタン屋根の住居でごちゃごちゃしてたところへやってきます。その周辺がMukulu地区です。
ツアーの目的は、シスター・ベロニカ(Veronica?)という女性が支援するワーキング・グループを見学し、彼女やグループのメンバーから話を聞くことでした。
彼女は元々農業普及員(現在も農業省に所属しています)で、農村を周り農民に農業技術などを教えていたそうです。(私の知る限り)アフリカの多くの国で農業普及員のサボタージュが問題になっているケースが多い中、彼女は例外的な情熱で仕事に取り組み、その活動が認められ、現在は農業省から特別に車とドライバーを与えられ、毎日違う地域に出かけては、ワーキング・グループに新しい技術・ビジネスを指南し貧困層を支援しているそうです。
このムクルスラムでは、教会を拠点に幾つかのワーキング・グループが活動していて、それぞれのグループが洗濯洗剤、ポテトチップス、絞り染めの衣服、アクセサリーの生産してました。製品は各メンバーが近所の住民に売っているそうです。これらのビジネスは全てシスター・ベロニカが教えたものです。初期投資もわずかで技術的にも簡単なビジネスですが、しっかり収益があがっているそうです。今後はこれらの商品を売る直売店を開いて事業規模を拡大するのが、メンバーの夢だそうです。
スラムの住民は農村出身で田舎で生活が困窮したため、仕方なく街に出てくる人が多いのですが、彼ら彼女らは教育もあまり受けておらず、都市部でもなかなか仕事を見つけられない。ビジネスを始めるにも資金はないし、知恵も無い。
更に、出身地もバラバラでお互い関係が希薄だから、中々共同で事業を始めるなんてことも難しいようです。でも、シスター・ベロニカの様なリーダーがいるとグループも纏まるし、事業も軌道に乗る。彼女も強調してましたが、貧困解消には付加価値を生み出す工夫、ビジネス・マインドが重要です。
このスラムでもあんな簡単そうで誰でも前からやってそうなビジネスが収益を生んでいるようですから、ビジネスをスラムで紹介するような支援活動なんか貧困対策に有効そうですよね。経済学でいう完全競争に近い状況では、利益の機会があると沢山の参入が起こり、そのせいで終いには利益の機会がなくなってしまいます。技術が容易で初期投資も少ないような産業の場合は、市場は競争的なはずなんです。だからそんな収益のしっかり出るしかも簡単なビジネスが、残されているとは考えないものなんですよね。現実はそんな状況とはほど遠いようです。今度、研究費が穫れたらフィールド実験してみようかな。
ナイロビ中心地からモンバサロードをジョモケニヤッタ国際空港へ向かい車で15分くらい走り、途中で左手に折れるとちょっとした街があります。更に左手に折れると、車がやっと一台通れるくらいの凸凹道になり、道路沿いの小さな商店、路上の物売り、その裏に密集するトタン屋根の住居でごちゃごちゃしてたところへやってきます。その周辺がMukulu地区です。
ツアーの目的は、シスター・ベロニカ(Veronica?)という女性が支援するワーキング・グループを見学し、彼女やグループのメンバーから話を聞くことでした。
彼女は元々農業普及員(現在も農業省に所属しています)で、農村を周り農民に農業技術などを教えていたそうです。(私の知る限り)アフリカの多くの国で農業普及員のサボタージュが問題になっているケースが多い中、彼女は例外的な情熱で仕事に取り組み、その活動が認められ、現在は農業省から特別に車とドライバーを与えられ、毎日違う地域に出かけては、ワーキング・グループに新しい技術・ビジネスを指南し貧困層を支援しているそうです。
このムクルスラムでは、教会を拠点に幾つかのワーキング・グループが活動していて、それぞれのグループが洗濯洗剤、ポテトチップス、絞り染めの衣服、アクセサリーの生産してました。製品は各メンバーが近所の住民に売っているそうです。これらのビジネスは全てシスター・ベロニカが教えたものです。初期投資もわずかで技術的にも簡単なビジネスですが、しっかり収益があがっているそうです。今後はこれらの商品を売る直売店を開いて事業規模を拡大するのが、メンバーの夢だそうです。
スラムの住民は農村出身で田舎で生活が困窮したため、仕方なく街に出てくる人が多いのですが、彼ら彼女らは教育もあまり受けておらず、都市部でもなかなか仕事を見つけられない。ビジネスを始めるにも資金はないし、知恵も無い。
更に、出身地もバラバラでお互い関係が希薄だから、中々共同で事業を始めるなんてことも難しいようです。でも、シスター・ベロニカの様なリーダーがいるとグループも纏まるし、事業も軌道に乗る。彼女も強調してましたが、貧困解消には付加価値を生み出す工夫、ビジネス・マインドが重要です。
このスラムでもあんな簡単そうで誰でも前からやってそうなビジネスが収益を生んでいるようですから、ビジネスをスラムで紹介するような支援活動なんか貧困対策に有効そうですよね。経済学でいう完全競争に近い状況では、利益の機会があると沢山の参入が起こり、そのせいで終いには利益の機会がなくなってしまいます。技術が容易で初期投資も少ないような産業の場合は、市場は競争的なはずなんです。だからそんな収益のしっかり出るしかも簡単なビジネスが、残されているとは考えないものなんですよね。現実はそんな状況とはほど遠いようです。今度、研究費が穫れたらフィールド実験してみようかな。
2009/07/25
Alumnus
同業者のBlogは新しい情報を得るのに非常に便利で有益なので、しばしば閲覧しています。IDEのhkonoさんのBlogもその一つなのですが、今度Jornal of Development Economicsに掲載されるGroup Lending に関する論文が紹介されていました。その論文の著者どこかで聞いた名前だな、と思い論文をダウンロードしフルネームを確認したら、やはり留学時代の一つ上の先輩でした。頑張ってるじゃありませんか。私も頑張らねば。
2009/07/17
Ruby program to convert GPX to KML
GarminのeTrexでtrackを記録したGISデータ(GPX形式)をGoogleEarthで見るのに、KML形式に変換するRubyプログラムです。前はそうした変換をGPSBabelというソフトでやっていたのですが、出力したKMLファイルがあまりきれいではなかったので、Rubyで作ってみました。(mybasic.rbが必要です。)
#!/usr/bin/ruby
=begin
trk2path.rb by Tomboya
>ruby trk2path.rb input.gpx
=end
require "~/myprg/ruby/mybasic"
require "rexml/document"
fname = ARGV[0]
data = REXML::Document.new(File.new(fname))
document = REXML::Document.new
kml = document.add_element("kml")
kml.add_namespace("http://earth.google.com/kml/2.0")
kml = kml.add_element("Document")
kml.add_element("name").text = fname
stylemap=kml.add_element("StyleMap")
stylemap.attributes["id"]="msn_ylw-pushpin"
pair = stylemap.add_element("Pair")
pair.add_element("key").text="normal"
pair.add_element("styleUrl").text="sn_ylw-pushpin"
pair = stylemap.add_element("Pair")
pair.add_element("key").text="highlight"
pair.add_element("styleUrl").text="sh_ylw-pushpin"
style=kml.add_element("Style")
style.attributes["id"]="sh_ylw-pushpin"
style.add_element("IconStyle").add_element("scale").text=1.2
linestyle=style.add_element("LineStyle")
linestyle.add_element("color").text = "ff1e15ff"
linestyle.add_element("width").text = 3
style=kml.add_element("Style")
style.attributes["id"]="sn_ylw-pushpin"
linestyle=style.add_element("LineStyle")
linestyle.add_element("color").text = "ff10fcff"
linestyle.add_element("width").text = 3
data.elements.each("gpx/trk"){|trk|
cord=""
time=[]
placemark=kml.add_element("Placemark")
placemark.add_element("name").text = trk.elements["name"].text
linestring=placemark.add_element("LineString")
linestring.add_element("tessellate").text = 1
coordinates=linestring.add_element("coordinates")
trk.elements.each("trkseg/trkpt"){|trkpt|
cord << trkpt.attributes["lon"] << ","
cord << trkpt.attributes["lat"] << ","
cord << trkpt.elements["ele"].text << " "
time << trkpt.elements["time"].text unless trkpt.elements["time"].nil?
}
coordinates.text=cord
placemark.add_element("description").text = "FROM #{time[0]} TO #{time[time.size-1]}" unless time==[]
placemark.add_element("styleUrl").text = "#msn_ylw-pushpin"
}
out=''
kml.write(out, 0, false, true)
mywrite("#{fname.split(".")[0]}.kml",[out])
Labels:
Garmin,
Google Earth,
Ruby
2009/07/14
ケニア現地調査
先週はケニア国内のリフトバレーとニヤンザに行ってきました。今年の3月に同じ地域で調査を行ったのですが、日程の都合で私は参加出来ませんでした。そこで、今回は調査地周辺で、農民から話を聞いたり、近くの街で穀物や農業インプットの値段を聞いたりして、現場の感覚をアップデートしてきました。
前にリフトバレーに行ったのは2007年1-2月に家計調査を行ったときですから、約2年半ぶりでした。そういえば、あの時は「リフトバレー熱」という牛から人間にも感染する病気が流行だしたころで、調査チームのみんなはビーフ、ポーク、ヤギ肉を避けて鶏肉や魚ばかり食べてたっけ。
今回の視察で一番驚いたのは、幹線道路が見事に修復されていたことです。以前ナイロビからナクルを通って西へ向かった時は、穴ぼこだらけの道で車の中で飛び上がりながら行ったのですが、今回はスムーズでロスのハイウェー(2005年当時)よりましでしたね。帰りはキシからナロックを通ってナイロビに戻ったのですが、こちらも思った以上に路面状況は良かったです。30キロ程は改修中でしたが。
農家はあちこち全部で10件くらい訪問してきました。今回見て回ったケニアの農家はこの間見て来たウガンダの農家に比べ、取り入れている技術や知識のレベルがだいぶ進んでいますね。それは畑の様子を見ただけでわかります。ケニアではトウモロコシがきちっと密集して整列していますから。また、ウガンダと違って、化学肥料や高収量品種の使用に関してもかなりの年数の経験がありました。
ある農家で新しい技術の採用のきっかけを聞いたのですが、おばさん曰く「10年くらい前に農業普及員が肥料と高収量品種のサンプルを配ってくれて、そんときに使い方も教えてくれたんだ。それがさ、驚くほど穫れたんだよー。そん時から近所のみんなも使い始めたんだ。うちでもそれからずっと使ってるんだ。」(訳 by Tomboya)とのこと。有益な技術は、それが有益だってことが知られさえすればすぐに普及するんですよね。当たり前だけど。
ウガンダの農家は今回見て回ったケニアの農家と比べて、採用している技術に関して10年以上遅れている感じがしました。ただ、私の予測ですが、今ウガンダは丁度過渡期でこれからそうした技術が「わっ」と普及すると思います。なぜなら幾つかの要因が、高収量品種や肥料の相対的なリターンを大きくしていますから。まず、農村の人口成長率は非常に高く、一戸あたりの作付け面積はどんどん狭くなってきています。したがって潜在的にこれまで以上に集約的な農法の需要は高まっています。さらにインフラの整備で輸入インプットの値段は多少下がるだろうし、穀物価格も短期的に多少下がることはあっても、長期的には上がるだろうし。商人だったら、ウガンダで農業インプットの流通を手がけてみては如何でしょう。(なお、私の予測が外れていても責任はとれません。)今まで、色々な政府の機関やNGOが行って来た農業技術の普及のための活動が実を結ばなかったのは、その技術が大して有益じゃ無かったからなんですよ。たぶん。現在進行中のウガンダでのプロジェクトが終わったら、もう少し確かな事が分かるはずです。
前にリフトバレーに行ったのは2007年1-2月に家計調査を行ったときですから、約2年半ぶりでした。そういえば、あの時は「リフトバレー熱」という牛から人間にも感染する病気が流行だしたころで、調査チームのみんなはビーフ、ポーク、ヤギ肉を避けて鶏肉や魚ばかり食べてたっけ。
今回の視察で一番驚いたのは、幹線道路が見事に修復されていたことです。以前ナイロビからナクルを通って西へ向かった時は、穴ぼこだらけの道で車の中で飛び上がりながら行ったのですが、今回はスムーズでロスのハイウェー(2005年当時)よりましでしたね。帰りはキシからナロックを通ってナイロビに戻ったのですが、こちらも思った以上に路面状況は良かったです。30キロ程は改修中でしたが。
農家はあちこち全部で10件くらい訪問してきました。今回見て回ったケニアの農家はこの間見て来たウガンダの農家に比べ、取り入れている技術や知識のレベルがだいぶ進んでいますね。それは畑の様子を見ただけでわかります。ケニアではトウモロコシがきちっと密集して整列していますから。また、ウガンダと違って、化学肥料や高収量品種の使用に関してもかなりの年数の経験がありました。
ある農家で新しい技術の採用のきっかけを聞いたのですが、おばさん曰く「10年くらい前に農業普及員が肥料と高収量品種のサンプルを配ってくれて、そんときに使い方も教えてくれたんだ。それがさ、驚くほど穫れたんだよー。そん時から近所のみんなも使い始めたんだ。うちでもそれからずっと使ってるんだ。」(訳 by Tomboya)とのこと。有益な技術は、それが有益だってことが知られさえすればすぐに普及するんですよね。当たり前だけど。
ウガンダの農家は今回見て回ったケニアの農家と比べて、採用している技術に関して10年以上遅れている感じがしました。ただ、私の予測ですが、今ウガンダは丁度過渡期でこれからそうした技術が「わっ」と普及すると思います。なぜなら幾つかの要因が、高収量品種や肥料の相対的なリターンを大きくしていますから。まず、農村の人口成長率は非常に高く、一戸あたりの作付け面積はどんどん狭くなってきています。したがって潜在的にこれまで以上に集約的な農法の需要は高まっています。さらにインフラの整備で輸入インプットの値段は多少下がるだろうし、穀物価格も短期的に多少下がることはあっても、長期的には上がるだろうし。商人だったら、ウガンダで農業インプットの流通を手がけてみては如何でしょう。(なお、私の予測が外れていても責任はとれません。)今まで、色々な政府の機関やNGOが行って来た農業技術の普及のための活動が実を結ばなかったのは、その技術が大して有益じゃ無かったからなんですよ。たぶん。現在進行中のウガンダでのプロジェクトが終わったら、もう少し確かな事が分かるはずです。
2009/07/06
ウガンダ現地調査
ウガンダから先日帰ってきました。今年の2月に、以前からの調査対象家計に対しトウモロコシのタネ(高収量品種)を無償配布するというプロジェクトをスタートさせました。この時期は対象地域の多くで、配布したトウモロコシの種が成長し収穫期を迎える、もしくは迎えたばかりという時期です。今回の出張ではそのプロジェクトの経過を観察しに、無償配布の対象の農村60村のうち10村を見て回りました。今年は多くの地域で、雨期の到来が不規則で、雨量も不足しがちという不作の年になりそうで、一般にトウモロコシの収穫量も昨年よりずっと少ないようです。
しかし、我々が配って歩いた種子(DK8031)は、その悪条件の中、大健闘。農家も驚くほどで、「来シーズンも是非この種を使いたい」、「どこで買えるのか」といった質問を多数受けました。予想以上の反応で、私も若干興奮してしまいました。一番の驚きは「こんなに有効な技術が未使用のまま残されていた」ってことです。現在出回ってる高収量品種がどのくらい高収量なのかってのは、実験圃場の観察データなんかの数値は知っていましたけど、色々な条件をコントロールしている実験圃場とは全く異なる農民の畑レベルでどの程度なのかというのは、今回見て回るまで知りませんでした。なので、高収量品種の効果が、農民が驚くほどあるとは思ってもいませんでした。しかも、扱いが難しいという訳でもなさそうです。無償配布にあたって、2時間ほどのインプットの使用法に関するトレーニングも同時におこない、その講義をまとめたチャートも併せて配布したのですが、それで作付け方に関しては十分だったようです。
それほど有益な財(技術)が未使用だってことは、市場の原理「神の見えざる手」が機能していないってことです。一つの理由は、農民がこの有益な財を知らない、もしくは財の有益性を知らない、つまり、知識の欠如にあります。農民は知らないから買わない、誰も買わないから誰も売りにこない、だから市場が発展しない、もしくはそもそも存在しない、という状況です。更に、有益な財を利用していないから、貧しい、貧しいから買わない使わない、使わないから知らない、という悪循環に陥っているようです。所謂「貧困の罠」というやつです。
もう一つの理由は、街ではタネや肥料を売っている店があるにはあるのですが、紛い物が出回っている様なのです。紛い物のせいで、農民は地域の小売店から高価な高収量品種を買うのをためらいます。高収量品種を見た事も無い地方の農民には、高収量品種とその他のタネの見分けができません。タネは植えてから収穫まで時間がかかるので、発芽の状況さえ異常がなければ、買ってすぐにタネ屋に文句をつけるということはありません。収穫時期になって収量が低いと文句をつけても、収量が低くなる要因はいくらでもありますから、「お前のやり方が悪かった」と片付けられてしまいます。結局、紛い物のせいで需要が創出されない、という状況に陥っているようです。
これまでのプロジェクトで我々は農家からかなりの信頼を得ています。その証拠に農民は「あなた方が持って来たタネなら買う」と言っています。これで、もし対象農家から近隣農家へ波及効果で、近隣の農家も「そのタネ買った!」なんて事になれば、また、そのタネで所得が大幅に増えれば「我々はこんな小規模な介入で市場を創出できること、また、貧困の罠から脱出できることを証明した」って言えるかもしれません。そんなに甘くはないだろうけど。今後のプロジェクトに乞うご期待。
Jeffrey Sachs は、貧困の罠から人々が逃れるためには、包括的な介入が必要で、そのために援助の大幅な増額が不可欠と言うけど、「もしかしたら、小規模な介入"Small Push"で意外とすんなり貧困の罠から逃れられるんじゃないか」って気になっています。「要は”Push”の仕方だぜ」と。
それにしても、今のところこのプロジェクトうまく行き過ぎてる。うーん、重大な何かを見落としてるのかな?
しかし、我々が配って歩いた種子(DK8031)は、その悪条件の中、大健闘。農家も驚くほどで、「来シーズンも是非この種を使いたい」、「どこで買えるのか」といった質問を多数受けました。予想以上の反応で、私も若干興奮してしまいました。一番の驚きは「こんなに有効な技術が未使用のまま残されていた」ってことです。現在出回ってる高収量品種がどのくらい高収量なのかってのは、実験圃場の観察データなんかの数値は知っていましたけど、色々な条件をコントロールしている実験圃場とは全く異なる農民の畑レベルでどの程度なのかというのは、今回見て回るまで知りませんでした。なので、高収量品種の効果が、農民が驚くほどあるとは思ってもいませんでした。しかも、扱いが難しいという訳でもなさそうです。無償配布にあたって、2時間ほどのインプットの使用法に関するトレーニングも同時におこない、その講義をまとめたチャートも併せて配布したのですが、それで作付け方に関しては十分だったようです。
それほど有益な財(技術)が未使用だってことは、市場の原理「神の見えざる手」が機能していないってことです。一つの理由は、農民がこの有益な財を知らない、もしくは財の有益性を知らない、つまり、知識の欠如にあります。農民は知らないから買わない、誰も買わないから誰も売りにこない、だから市場が発展しない、もしくはそもそも存在しない、という状況です。更に、有益な財を利用していないから、貧しい、貧しいから買わない使わない、使わないから知らない、という悪循環に陥っているようです。所謂「貧困の罠」というやつです。
もう一つの理由は、街ではタネや肥料を売っている店があるにはあるのですが、紛い物が出回っている様なのです。紛い物のせいで、農民は地域の小売店から高価な高収量品種を買うのをためらいます。高収量品種を見た事も無い地方の農民には、高収量品種とその他のタネの見分けができません。タネは植えてから収穫まで時間がかかるので、発芽の状況さえ異常がなければ、買ってすぐにタネ屋に文句をつけるということはありません。収穫時期になって収量が低いと文句をつけても、収量が低くなる要因はいくらでもありますから、「お前のやり方が悪かった」と片付けられてしまいます。結局、紛い物のせいで需要が創出されない、という状況に陥っているようです。
これまでのプロジェクトで我々は農家からかなりの信頼を得ています。その証拠に農民は「あなた方が持って来たタネなら買う」と言っています。これで、もし対象農家から近隣農家へ波及効果で、近隣の農家も「そのタネ買った!」なんて事になれば、また、そのタネで所得が大幅に増えれば「我々はこんな小規模な介入で市場を創出できること、また、貧困の罠から脱出できることを証明した」って言えるかもしれません。そんなに甘くはないだろうけど。今後のプロジェクトに乞うご期待。
Jeffrey Sachs は、貧困の罠から人々が逃れるためには、包括的な介入が必要で、そのために援助の大幅な増額が不可欠と言うけど、「もしかしたら、小規模な介入"Small Push"で意外とすんなり貧困の罠から逃れられるんじゃないか」って気になっています。「要は”Push”の仕方だぜ」と。
それにしても、今のところこのプロジェクトうまく行き過ぎてる。うーん、重大な何かを見落としてるのかな?
登録:
投稿 (Atom)