2009/09/08

Field Experiment in Uganda その後2

(前回からのつづき)困った末に、思いついたのはハイブリッド種と化学肥料を販売する時に、各参加者に「もし値段がXだったら、どのくらい買いますか」という仮想的な質問を幾つかのXについてそれぞれ答えてもらう、というものです。当初考えていた参加者ごとに、または村ごとに値段設定を変えて販売するという方法では、各参加者からは一つの価格水準に対する需要量しか聞き出せませんが、この方法だと、幾つかの価格水準での需要量を聞き出す事ができます。ただし、仮想的な質問を聞くだけでは、本当に欲しい量かつ実際に買うことができる量を答えてくれるかどうかわからないので、真剣に答えてもらえるようにするのにちょっとした工夫が必要です。そこで、フィールド実験でのランダマイゼーションのための秘密兵器「ビンゴケージ」を使うことにしました。まず、参加者が質問表を埋め、その後に村の代表者に、ビンゴケージをガラガラやってボールを一つ選んでもらいます。次にその出た目に応じてXの値を確定し、そのXをもとに各参加者の質問表を参照し、それぞれが答えた量を実際に価格Xで販売します。どの価格水準でも実際に販売が行われる可能性があるので、参加者は本当にそれぞれの価格水準で購入したい量を答えてくれる(はず)、という仕掛けです。これだと村の中では参加者間で値段が違ったりしないので、不公平感もないし、再販売の心配も少ないだろうと思われます。

如何でしょう。聞くと「工夫ってそれだけか?」とお思いかもしれませんが、些細なことでも新たな工夫ってなかなか思いつかないものです(少なくとも私にとっては)。だいたい研究でも、研究の手法でも人まねがほとんどでしょ。兎に角、ちっぽけな工夫でも思いついて良かったです。思いつかなかったら、村レベルで価格水準を変えていたか、無理して個人レベルで変えていたか、いずれかでしたでしょうから、プロジェクトが始まる直前に思いついてラッキーだったと思います。(プロジェクトとの開始は雨期の到来の時期で決まっていたので、準備が万端でなくても、時が来たら始めなくては行けないという状況でしたからね。)

実際には、上記のような現金払いの場合の質問表に加えて、クレジット(後払い)オプションをつけた場合の質問表も使いました。後払いオプションがある場合、どのくらい需要が増えるのか知りたいでしょ。でも後払いオプションをつけると後で売掛け金を回収しに来なければならないとか、「どうせ回収しに来てもしらばっくれてれば、払わずに済むのだから、法外な量を買ってしまえ」と考える輩がでるのではとか、幾つかの問題が考えられます。どういうアレンジにしようか悩んだのですが、これまたいい方法を思いついたんです。ここでは詳しく触れませんが、近いうちに論文に書きますので乞うご期待。

今回は色々と神懸かり的にツキがあります。何とか最終成果を発表するまで、この運勢が落ちませんように。

0 件のコメント:

コメントを投稿