2009/07/25

Alumnus

同業者のBlogは新しい情報を得るのに非常に便利で有益なので、しばしば閲覧しています。IDEのhkonoさんのBlogもその一つなのですが、今度Jornal of Development Economicsに掲載されるGroup Lending に関する論文が紹介されていました。その論文の著者どこかで聞いた名前だな、と思い論文をダウンロードしフルネームを確認したら、やはり留学時代の一つ上の先輩でした。頑張ってるじゃありませんか。私も頑張らねば。

2009/07/17

Ruby program to convert GPX to KML

GarminのeTrexでtrackを記録したGISデータ(GPX形式)をGoogleEarthで見るのに、KML形式に変換するRubyプログラムです。前はそうした変換をGPSBabelというソフトでやっていたのですが、出力したKMLファイルがあまりきれいではなかったので、Rubyで作ってみました。(mybasic.rbが必要です。)


#!/usr/bin/ruby
=begin
trk2path.rb by Tomboya
>ruby trk2path.rb input.gpx
=end

require "~/myprg/ruby/mybasic"
require "rexml/document"

fname = ARGV[0]
data = REXML::Document.new(File.new(fname))
document = REXML::Document.new

kml = document.add_element("kml")
kml.add_namespace("http://earth.google.com/kml/2.0")

kml = kml.add_element("Document")
kml.add_element("name").text = fname

stylemap=kml.add_element("StyleMap")
stylemap.attributes["id"]="msn_ylw-pushpin"
pair = stylemap.add_element("Pair")
pair.add_element("key").text="normal"
pair.add_element("styleUrl").text="sn_ylw-pushpin"
pair = stylemap.add_element("Pair")
pair.add_element("key").text="highlight"
pair.add_element("styleUrl").text="sh_ylw-pushpin"

style=kml.add_element("Style")
style.attributes["id"]="sh_ylw-pushpin"
style.add_element("IconStyle").add_element("scale").text=1.2
linestyle=style.add_element("LineStyle")
linestyle.add_element("color").text = "ff1e15ff"
linestyle.add_element("width").text = 3

style=kml.add_element("Style")
style.attributes["id"]="sn_ylw-pushpin"
linestyle=style.add_element("LineStyle")
linestyle.add_element("color").text = "ff10fcff"
linestyle.add_element("width").text = 3

data.elements.each("gpx/trk"){|trk|
cord=""
time=[]
placemark=kml.add_element("Placemark")
placemark.add_element("name").text = trk.elements["name"].text

linestring=placemark.add_element("LineString")
linestring.add_element("tessellate").text = 1

coordinates=linestring.add_element("coordinates")
trk.elements.each("trkseg/trkpt"){|trkpt|
cord << trkpt.attributes["lon"] << ","
cord << trkpt.attributes["lat"] << ","
cord << trkpt.elements["ele"].text << " "
time << trkpt.elements["time"].text unless trkpt.elements["time"].nil?
}
coordinates.text=cord
placemark.add_element("description").text = "FROM #{time[0]} TO #{time[time.size-1]}" unless time==[]
placemark.add_element("styleUrl").text = "#msn_ylw-pushpin"
}

out=''
kml.write(out, 0, false, true)
mywrite("#{fname.split(".")[0]}.kml",[out])

2009/07/14

ケニア現地調査

先週はケニア国内のリフトバレーとニヤンザに行ってきました。今年の3月に同じ地域で調査を行ったのですが、日程の都合で私は参加出来ませんでした。そこで、今回は調査地周辺で、農民から話を聞いたり、近くの街で穀物や農業インプットの値段を聞いたりして、現場の感覚をアップデートしてきました。

前にリフトバレーに行ったのは2007年1-2月に家計調査を行ったときですから、約2年半ぶりでした。そういえば、あの時は「リフトバレー熱」という牛から人間にも感染する病気が流行だしたころで、調査チームのみんなはビーフ、ポーク、ヤギ肉を避けて鶏肉や魚ばかり食べてたっけ。

今回の視察で一番驚いたのは、幹線道路が見事に修復されていたことです。以前ナイロビからナクルを通って西へ向かった時は、穴ぼこだらけの道で車の中で飛び上がりながら行ったのですが、今回はスムーズでロスのハイウェー(2005年当時)よりましでしたね。帰りはキシからナロックを通ってナイロビに戻ったのですが、こちらも思った以上に路面状況は良かったです。30キロ程は改修中でしたが。

農家はあちこち全部で10件くらい訪問してきました。今回見て回ったケニアの農家はこの間見て来たウガンダの農家に比べ、取り入れている技術や知識のレベルがだいぶ進んでいますね。それは畑の様子を見ただけでわかります。ケニアではトウモロコシがきちっと密集して整列していますから。また、ウガンダと違って、化学肥料や高収量品種の使用に関してもかなりの年数の経験がありました。

ある農家で新しい技術の採用のきっかけを聞いたのですが、おばさん曰く「10年くらい前に農業普及員が肥料と高収量品種のサンプルを配ってくれて、そんときに使い方も教えてくれたんだ。それがさ、驚くほど穫れたんだよー。そん時から近所のみんなも使い始めたんだ。うちでもそれからずっと使ってるんだ。」(訳 by Tomboya)とのこと。有益な技術は、それが有益だってことが知られさえすればすぐに普及するんですよね。当たり前だけど。

ウガンダの農家は今回見て回ったケニアの農家と比べて、採用している技術に関して10年以上遅れている感じがしました。ただ、私の予測ですが、今ウガンダは丁度過渡期でこれからそうした技術が「わっ」と普及すると思います。なぜなら幾つかの要因が、高収量品種や肥料の相対的なリターンを大きくしていますから。まず、農村の人口成長率は非常に高く、一戸あたりの作付け面積はどんどん狭くなってきています。したがって潜在的にこれまで以上に集約的な農法の需要は高まっています。さらにインフラの整備で輸入インプットの値段は多少下がるだろうし、穀物価格も短期的に多少下がることはあっても、長期的には上がるだろうし。商人だったら、ウガンダで農業インプットの流通を手がけてみては如何でしょう。(なお、私の予測が外れていても責任はとれません。)今まで、色々な政府の機関やNGOが行って来た農業技術の普及のための活動が実を結ばなかったのは、その技術が大して有益じゃ無かったからなんですよ。たぶん。現在進行中のウガンダでのプロジェクトが終わったら、もう少し確かな事が分かるはずです。

2009/07/06

ウガンダ現地調査

ウガンダから先日帰ってきました。今年の2月に、以前からの調査対象家計に対しトウモロコシのタネ(高収量品種)を無償配布するというプロジェクトをスタートさせました。この時期は対象地域の多くで、配布したトウモロコシの種が成長し収穫期を迎える、もしくは迎えたばかりという時期です。今回の出張ではそのプロジェクトの経過を観察しに、無償配布の対象の農村60村のうち10村を見て回りました。今年は多くの地域で、雨期の到来が不規則で、雨量も不足しがちという不作の年になりそうで、一般にトウモロコシの収穫量も昨年よりずっと少ないようです。

しかし、我々が配って歩いた種子(DK8031)は、その悪条件の中、大健闘。農家も驚くほどで、「来シーズンも是非この種を使いたい」、「どこで買えるのか」といった質問を多数受けました。予想以上の反応で、私も若干興奮してしまいました。一番の驚きは「こんなに有効な技術が未使用のまま残されていた」ってことです。現在出回ってる高収量品種がどのくらい高収量なのかってのは、実験圃場の観察データなんかの数値は知っていましたけど、色々な条件をコントロールしている実験圃場とは全く異なる農民の畑レベルでどの程度なのかというのは、今回見て回るまで知りませんでした。なので、高収量品種の効果が、農民が驚くほどあるとは思ってもいませんでした。しかも、扱いが難しいという訳でもなさそうです。無償配布にあたって、2時間ほどのインプットの使用法に関するトレーニングも同時におこない、その講義をまとめたチャートも併せて配布したのですが、それで作付け方に関しては十分だったようです。

それほど有益な財(技術)が未使用だってことは、市場の原理「神の見えざる手」が機能していないってことです。一つの理由は、農民がこの有益な財を知らない、もしくは財の有益性を知らない、つまり、知識の欠如にあります。農民は知らないから買わない、誰も買わないから誰も売りにこない、だから市場が発展しない、もしくはそもそも存在しない、という状況です。更に、有益な財を利用していないから、貧しい、貧しいから買わない使わない、使わないから知らない、という悪循環に陥っているようです。所謂「貧困の罠」というやつです。

もう一つの理由は、街ではタネや肥料を売っている店があるにはあるのですが、紛い物が出回っている様なのです。紛い物のせいで、農民は地域の小売店から高価な高収量品種を買うのをためらいます。高収量品種を見た事も無い地方の農民には、高収量品種とその他のタネの見分けができません。タネは植えてから収穫まで時間がかかるので、発芽の状況さえ異常がなければ、買ってすぐにタネ屋に文句をつけるということはありません。収穫時期になって収量が低いと文句をつけても、収量が低くなる要因はいくらでもありますから、「お前のやり方が悪かった」と片付けられてしまいます。結局、紛い物のせいで需要が創出されない、という状況に陥っているようです。

これまでのプロジェクトで我々は農家からかなりの信頼を得ています。その証拠に農民は「あなた方が持って来たタネなら買う」と言っています。これで、もし対象農家から近隣農家へ波及効果で、近隣の農家も「そのタネ買った!」なんて事になれば、また、そのタネで所得が大幅に増えれば「我々はこんな小規模な介入で市場を創出できること、また、貧困の罠から脱出できることを証明した」って言えるかもしれません。そんなに甘くはないだろうけど。今後のプロジェクトに乞うご期待。

Jeffrey Sachs は、貧困の罠から人々が逃れるためには、包括的な介入が必要で、そのために援助の大幅な増額が不可欠と言うけど、「もしかしたら、小規模な介入"Small Push"で意外とすんなり貧困の罠から逃れられるんじゃないか」って気になっています。「要は”Push”の仕方だぜ」と。

それにしても、今のところこのプロジェクトうまく行き過ぎてる。うーん、重大な何かを見落としてるのかな?