最近アフリカの異なる地域の農法の違いを見る機会が増えるにつけ、Boserup(1965)の中で、彼女が40年以上前に言った事は当たっているな、としみじみ思います。マルサス理論、つまり「食料供給と農業技術が人口のサイズを決定する」という言説に対して、彼女は、「人口のサイズが農業技術を決定する」と説きます。この説は、マルサス理論と対立する議論というより、所与の条件として考えていた農業技術を、人口圧力によって変化する(内生的に決定される)変数として捉えた拡張モデルと言えます。人口はマルサスの言うように幾何級数的に増えていますが、算術級数的にしか増えないと考えられた食料生産も、技術進歩のお陰で人口成長率以上のペースで増えています。
速水佑次郎先生の「誘発技術革新(induced technology innovation)」の議論も、Boserupと同じライン上にあって、労働力が希少になってくると労働節約的な技術の、そして土地が希少になってくると土地節約的な技術の採用や開発が進むというものです。まさに「必要は発明の母」ってやつです。ただし、途上国の場合、「発明」しなくても、どこかですでに発明された技術を「採用」すれば良いというケースが、結構あったりします。そういうところでは「必要は採用の母」で、必要としている技術を紹介すると、一気に普及したりします。私が行っているウガンダのプロジェクトで、集約的農法のための農業インプット(肥料・高収量品種)を紹介したところ、そうしたインプットの採用が急に増えたのも、そうした技術が必要だったからでしょう。
潜在的な需要はあるんだけど、まだ知られていないために普及していないという技術・製品がアフリカでは数多くあるはずです。(だって、よそでは使われているけどここでは普及していないものって沢山あるでしょう。)また、多くのアフリカの国々で情報・交通インフラは確実に改善していますから、以前にも増してそういう技術・製品が増えているはずです。
アフリカにはビジネス・チャンスがごろごろしているような気がします。なら、自分で商売すればと言われそうですね…。
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